「伝言ダイヤル(サクラに恋した男)」     恋が。。走り出す。



※この話エロは出てきません。むしろ純情恋愛話(?)です。

風俗嬢ばかり相手にしていると、何となく素人さんが恋しくなったりする。
ほら、あるでしょ?裏ビデオばっか見てたら飽きてきて本屋に普通のグラビア系エロ本を買いに
行きたくなる類のアレですよ。(それはちがうかも)

思えば10年くらい前にもそんな気分になった事がありました。(そして遠くを見つめる男)


その頃の主流はもちろん今のようなネットなんかではなく、代表格はテレクラ、ダイヤルQ2や
プリペイドカードを使ったツーショットダイヤルや伝言ダイヤルなどだった。
そしてその中で僕が選んだ{出会い}の手段は伝言ダイヤルである。

手元にコンサートチケットが2枚あって誰か一緒に行く子を探そうと思ったのが事の始まりだ。
この伝言ダイヤルを選んだ理由は当時の僕はtoシャイシャイボーイだったのでいきなり会話をすると
いう手法は避けたかったのだ。(早い話びびったんです、はい)
もうひとつの理由は伝言ダイヤルには初回登録で20分ないし30分の無料ポイントが付いてきたから
である。出来れば一切金を使わずに任務を遂行したい。(ずいぶんと虫のいい話ではある)
今思えば伝言ダイヤルというのは現在の出会い系のメールのやりとりに似ていた。

まず、自分がプロフ&アピールなどを自分用のボックスに声で吹き込む、するとそれを聞いた女性
が私のボックスに返事をくれるのだ、ヒャッホー。
(その逆、女性のボックスに自分の声を吹き込むパターンもある)

吹き込んだあと半日後に聞いてみたら何と8人もの女性の返事が!オイラもてもてじゃないか。

さて、僕のHPに出入りしている方々ならご存知であろう。これらの{ほとんどが店のサクラである}と
いう事だ。しかし、当時ピュアピュアハートだった僕はすっかり騙されていた。
プレイボーイ(古)にでもなったつもりのアポーンな僕は全てのメッセージに返事を送っていたのである。

順調すぎるやりとりが進み、最終的に僕の連絡先を教えて電話を待つ。
私は小動物のようにプルプルと震えながら待ったが女性からの電話は一向に来ない。
サキ、マユミ、カザミ、ユイ。誰も電話を掛けてこない。
このあたりでやっと、{店のサクラだったのか?}という疑問が湧いた。(私アホですから)
すでに時は遅く30分あったポイントもすでに底をついていた。

しかしどうしてもやり取りを続けたい女性がひとり残っていた。

名前はコトちゃん。十代ですごく可愛くて最近では珍しく古風で純粋な女の子だ。(完全なる妄想)
仕方がなく僕は銀行振込をした。3000円を支払い、30分のポイントを追加したのである。

かくしてコトちゃんとの取り止めの無いやり取りは続いたがある日、事態は急展開を告げる。
あるとき遊園地に行く約束ができたのだ。しかも誘ってきたのはコトちゃんの方なのである。

僕は有頂天で、その日を待った。もう待ち合わせの場所も決めたし、時間も決めた。来ていく服装も
聞いたし教えた。しかし、前日に私のボックスにこんな伝言があった。

「ごめんなさい。急に行けなくなってしまいました。お姉さんが倒れたんです。前から体調が悪くって、
うぅー(←小さな泣き声)お姉さんの小さな子供を私がしばらく面倒みなければいけません。ごめんなさい。
嫌われたくないけど…、でも、でも、ひっく、(←しゃくり泣き)このやり取りは続けたいです。だってせっかく
あなたと知り合いになれたから。ごめんなさい、でも返事もらえなくても仕方がないですね」  ピー。

すっかり信じ切っている僕はその後もコトちゃんとやり取りを続けた。コトちゃんはなぜか決まって朝の
7時に伝言をくれるので、私は頑張って早起きして、朝9時に伝言を返した。
{朝にメッセージをくれる}という事も爽やかで、コトちゃんが清楚である、という勝手なイメージが膨らんでいった。
そして他愛のないやり取りは続いていく。

コトちゃんのお姉さんは、その後、快方に向かっているらしく{元気になったら僕に会いたい}と言ってくれている。
この時すでに僕が業者に振り込んだ総額は2万円になっていた。

これを読んでいる大方の人が思うように、コトちゃんがサクラかもしれない事は僕だって薄々感じていたし、
コトちゃんと僕がこの先出会う事もないだろうと言う事も感じていた。でもなぜかそれでも良いとさえ思っていた。
とにかく僕は、このやり取りが趣味もしくは日課になっていたし、顔も知らぬコトちゃんを、遠くに離れて会えない、
恋人のように思っていたのだ。 笑うなら笑いたまえ。 わっはっは。(殺す)

最終的には僕に彼女ができて、メッセージが毎日だったのが2日おきになり、3日おきになった。
最後に僕は彼女ができた事と、このやり取りを終えたいと、コトちゃんのボックスに入れた。
今となってははっきりとそう思った自信が無いが、僕に彼女がいるのに続けるのはコトちゃんに悪いと思った
のである。でも、なぜか、自分の彼女には悪いとは思わなかった。(ひどい話よね)
一方的な僕の通達にもコトちゃんは返事をくれた。

「良かったね」 ピー。

最後に聞いたコトちゃんのメッセージはみじかくてとても優しいものでした。    (完)



PS:今でも僕はコトちゃんが店のサクラだったとは思っていないし(100人が否定しても)もしコトちゃんが
一歩譲ってサクラだったとしても言っていた事は嘘ではなかったと信じています。というかそんな事は
どっちでも良くて僕にとっては素敵な時間だったんですよ!(なぜか隊長キレぎみ)
振り込んだ2万円も惜しくはありません! (はっきり使った金額を覚えてる時点で微妙じゃないですか?)

とにかく。。。。 意外とピュアな隊長でした。 今ではボロ雑巾のようですがね。  (ボロは着てても心は錦じゃ)


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