「宗教団体に1日入門:前編」 − 僕の宗教に入れよ何とかしてあげるぜ!(By筋小)
※この話にはエロは何ひとつでてきません。エロを期待している方はスルーしてください。 完全無欠のぷータロー時代のこと。 朝イチでパチスロのモーニングを拾いに行く。それが単発で終わってしまうとその日は 1日中何もすることがない。もちろん金もなくバイトもない、というかしたくもない。 早い話が人間のクズだった。(誰がクズじゃ) しょうがないので市バスにでも乗ろうと待っているがバスは20分後にしか来ない。 私はベンチでぼーっとしていた。すると目の前に中の下くらいのメガネ女がたたずんだ。 嫌な予感がした。 「祈らせてください」 ありゃりゃ。やっぱりだ。ここは宗教団体の布教地域なのだ。 女はスマイル全開だ。でも目が死んでいる。思いつめたような目が真っ直ぐに向いている。 付き合いたくないタイプだ。セックスをしても「どうしてこんな事するの?」とか言いそうだった。 いつもなら完全無視だが、死ぬほど暇だし相手が女なので話を聞いてみた。(お祈りは拒絶) 話の流れで女は私に宗教の支部への見学を強く勧めた。 「見学だけですから。無理に入会なんてさせませんから」 この言葉を信じて破滅の人生を辿った奴は少なくない。(まぁ本人はそうは思わないかもね) だが地下鉄に乗り私は女に付いていった。 この頃の私は少々自暴自棄になっていたし、流れに任せるフワフワとした人生に美学を感じていた。 それに私はそのとき身分がわかるものは何ひとつ持ち合わせていなかった。金もパチスロでスって 小銭が少々あるだけだ。失うモノは何もないので何となく気が大きかったのである。 着いた先はちょっと大きな民家風の建物だった。 白装束の30歳くらいの男が出迎え、案内人のメガネ女は去って行った。たぶん次の獲物を 探しに行ったのだろう。こうなって初めて私は激しく後悔した。来るんじゃなかった。だって、 あのメガネ女が案内すると思ってたのにこの男どう見てもシャレが通じる相手ではなさそうだもの。 応接室(純和風)で男が簡単な挨拶をしてこの宗教がいかに素晴らしいかを軽く語った後。 「見学料は2000円です」 と、男はのたまった。 「ありません」 即答だった。だって本当に無いのだ。 男はしばらく考え込んだあと、「では代わりに奉仕活動をしてもらいます」と言った。 {オイ!何で私がお前のところの奉仕をせねばならんのだ!}と、言える状況でもなく私はこの家の 玄関の掃除をする事になった。簡単なはき掃除である。 そばで男が見守って(?)いたが、逃げないように見張っていただけかも知れない。 確かにチャンスさえあれば逃げ出すつもりだったが、男はその隙を与えなかった。 私は仕方なくはき掃除を終えた。何だか一生帰れないような気もしてきたがな。 掃除が終わると白装束のようなものを羽織らされ道場のような板の間と畳のあるだだっ広い 30畳程度の修行場に通された。 奥には信者の名前が書いたものがズラリと張ってある。立派な板に書かれた物から、ただの 白い紙に墨で書いただけの粗末なものまであった。 男が語るには、地位の高い順に並んでおり、一定の地位までは信仰度によって上がれるらしい。 そこから先は修行によって幹部になれるのだ、という。 はっきりとは言わなかったがその{信仰度}とやらが現金の事を指している事ぐらい私のような ぷー太郎にも理解できた。男は付け加えた。「ご家族のご協力も神は喜ばれます」 うん。どうやら現金だけでなく株券でも不動産でも何でもござれの姿勢のようだ。 ここの神様はよほどお金や財産が好きらしい。俗な神である。しかし何に使うのかしらね? 見学はこれにて終了。 後編につづく |