「宗教団体に1日入門:後編」 −修行するぞ。修行するぞ。修行するぞ。
見学を終了後。。。。 あと男に残された使命は私を宗教に入会させる事になる。きっと神様に頼まれたのだろう。 とてもしつこい勧誘だ。というより強制に近い。必死である。 私に残された使命は入会せず逃げる事だ。(神様、僕を見逃してください。) 男は1枚の紙を取り出した。そこには「○(内緒)」という文字が墨で書かれている。なかなか達筆だ。 「5万円のお布施でこれを差し上げます。この紙にはあなたの想像もつかないほどのパワーが 込められています。これをあなたは肌身離さず身につける事で気が上昇し、あなただけでなく あなたの周りの人、それが他人であっても気を分け与える資格を得る事ができます。それは あなたの掌から放出します。あなたにはその使命があります。そしてこの素晴らしい価値観を 広める義務があります。」 男はこんなような事を言ってのけた。その顔は自信に満ち溢れ、威圧感すら漂った。 今思うとまるでアメリカの増大サプリメントメーカーの日本語訳のようだ。 なるほど。どうやらここの神様はたったの5万円で下々に超能力を分け与えてくださるらしい。 なんとも安い神である。(紙なだけにね、という安いシャレが脳裏をかすめた) いやはや修行もへったくれも要らないのである。ずいぶんと敷居が低い。それとも懐が広いのかね? 入信後は毎月最低1万円〜青天井のお布施と、街頭による布教活動が必須となる。勉学や仕事は 続けて良いが、暇な時間は教団のために尽力せねばならない。寝る間を惜しんでも、である。 私は丁重にお断りした。 が、そんな事で引き下がるような相手ではない。男は言う。 「なぜあなたが受け入れないのか私には理解できない」 「私はお金もないし、興味が持てない」と、はっきり答えた。 「あなたは幸せになりたくないのですか?地獄の荒行に耐えられるのですか?」 どうやら私はこのままだと地獄行きらしい。 「私に全てを委ねなさい」男は諭すように言った。。。 ここで私が涙を流して怪しげな文書にサインするほどピュア(?)なはずもなく押し問答が続く。 「心を開きましょう」 「いりません」 「自分と家族の幸せを考えないのですか?」 「いりません」 「そもそも人間という生物は。。。ビル$なぞ&%ドグマ#!?ガイア?高等民族%$パラサイトZZ」 男は訳の分からん精神論を展開しつつ、入会を迫った。 辛い時間だ。1時間以上も同じ質問と回答が繰り返されたように思う。 私は取りあえずサインしようかと考えた。これ以上は耐えられそうにない。偽名を使えばいい。 しかし色々な状況を考えてもそれは良くない選択に思えた。嫌な予感がする。 私は妥協案を出した。1日だけ考えさせてくれ、と。 すると男は私に住所と名前と電話番号を書くように迫った。 男は言う。「神様は見ています」 {嘘をつくなよ}と言う脅しだろう。 {神様はアンタのあくどい勧誘も見てるんだよ}と言ってやりたかった。 {ふっ、地獄でいずれ会おう。。。} と、言う訳で偽名を記入して立ち去った。 偽名と住所は友人の名前を記入した。 (だって覚えていたのそれしかなくて、ごめん。そこででたらめを書く余裕がなかったのです) ただし、電話番号はでたらめを書いた。 「変な宗教から何回も電話があって鬱陶しくてさ」後日の友人の言葉である。 神様は電話番号を住所から調べたようだ。僕は友人に何も言えなかった。(重ね重ねスマン) でも私には電話はかかってこないので神様の力でも僕の電話番号は調べられなかったようだ。 ところで、神様を欺いた私は地獄に落ちるんでしょうかね? ん?でなくても地獄に行きは決定?テメー!って…僕もそう思うけど…。 PS.この後オウムの事件が明るみに出ました。インチキ宗教は恐ろしいです。私は無事に 帰ってこれて良かったと思います。冷やかし禁止です。奴らマジですからね。 あと、まだバチはあたっていません。(たぶんですが。。。。) 私は今日も神に祈ります。「世界が平和になりますように」 (完) |