ニュー裏モノ探検隊:一風堂

日本フーゾク。たいちょうのひとりごと

釜ヶ崎の泥棒市2019

※HP過去記事です。

 

 

※はじめに

この文章はフィクションであり作中に登場する人物または地名、地域は架空のものであります。たまたま実在する登場人物、地域やイベントがこの世界に存在したとしても本文とは一切関係ありません。(モノの名称も含む)







某遊郭での一発から、その後ナンバに戻りたこせんを食べて口の中を大やけどした。さらに軽く寿司を食い、その後でウドンを食べてまた口の中を追いやけどした。(学べよ)最早味があんま分からんし単なる食いすぎである。しかし今回は非常にタイトなスケジュールなので詰め込んで行かないとね。
イメージとしては当日17時に大阪に着いて翌日の12時には帰宅しないといけない。
このような事情のため正直遊郭はどっちでも良かったのだ。(ウソだけど)

しかし時間がタイトなのは確かだ。
ぼくは今回少々必要に迫られていたとはいえある程度の覚悟を持ってやってきたのだ。ジョジョ1部でジョナサンジョースターが父の為に解毒剤を求めて暗黒街に行くような種類の覚悟だ。(全然違うけど)付け加えるとジョジョの奇妙な冒険は1部(ファントムブラッド)こそ至高である。次点で2部(戦闘潮流)である。異論は認める。

明日は朝の5時起きである。

せっかく遠路はるばる大阪まで来たというのになんで早寝して朝の5時に起きなアカンねや?

それは釜ヶ崎(西成)の朝市に行きたいからなのだ。この朝市は通称 『泥棒市』 『ドロ市』 などと呼ばれている。開催されているのは土日の早朝5時ごろから7時前後が多い。人が多いともう少し長くやる場合もあるらしいし夜中の2時ぐらいからやる場合もあるみたい。なお祭日もやっていました。


警察の手入れがあると早々に閉まるようだ。何?警察の手入れ?その辺はマーケット上の名称からも察してほしい。売られているものは盗品(工事現場からが多い)らしきもの、拾ったようなガラクタ。スリッパ。違法コピーDVDなど。それらを道路を拝借して(それが不法なんですが)ブルーシートに並べて売っている。なお現在アツいのはクスリである。クスリと言っても違法なブツではなく処方薬だ。

からくりはこうです。

元締めが生活保護受給者を医療チケットで病院に行かせ処方箋をもらう。それを販売しているのだがご存じの通りナマポの人は病院代が無料だ。当然薬も無料である。それを元締めが貰うか安く買うかなりして転売しているのだ。
現代の錬金術と言っても良いぐらいだ。
勃起薬もある。小便の出が悪い、と訴えれば医者は難なく前立腺治療薬としてシアリスを処方するのだ。聞けば非常に不快に思うかもしれないが 『国のシステム』『医者』『転売人』これらは三位一体だ。いや、患者(?)と買い手を含めれば政府は災難だろうが魔法のような仕組みだ。いや政府だって制度と彼らを利、、何でもない、、


その中でも一番の恩恵を受けるのは医者だろうね。
医師としてのプライドを捨てれば医者は非常に儲かる。処方した後のことなんて医者としては知ったこっちゃないのだ。嘘だと思うなら近代までの医者の歴史を見ればよい。中毒者を治すため違う薬物を与え新たなる中毒者を生み出す、お医者さんが良かれと思ってやった医療行為が現代まで麻薬汚染が負の遺産として残っているのは皆さんご存じの通りだ。

間違えた。医師は患者の求めに応じて必要な処方箋を出した。ただそれだけだ。そこに悪意などあろうはずがない。

ダークな誰かが言っていた。『話の分かる医者と薬局があると非常に助かる』と。

まさにその 『話の分かる薬局』 こそがこの西成にある。いや西成だけじゃない、他の関西地区にもあるし新宿にだってある。もっと言っちゃえば掲示板やSNS上でもやりとりされている。これについてはすぐに足がつくけどね。ただグレーなんだけど小っちゃ過ぎるグレーさなんでよっぽど目立たなければ警察は相手にしないと思うけどどうだろう。


だがナマポの人が売ってるのを直に押さえられたらOUTだ。生活保護も取り消されるでしょう。(商売できるんだから)

ちょっと喋りすぎたし、またしても間違えた。、みんなただ余ってしまった処方薬を切実に必要な人間に安価で譲ってるだけだった。この話に出て来る登場人物はみんな善意に基づいて行動しているのだ。Well そうに違いないだろうスチーブ。(誰やねん)

さて、なんでドロ市がこんな朝の時間帯かと言うと警察の勤務交代の時間と被るから滅多に手入れが入りにくいからだw







西成の朝は早い。

ぼくは日付が変わる前に明日の朝の5時にタイマーをセットしてカプセルホテルで布団に入った。

だが眠れない。。

明日の朝に向けて少々緊張して眠れないのかもしれないがそれにしても、まったく睡魔は襲ってこなかった。しょうがないのでハルシオン(睡眠導入剤)を追加して飲んだ。これは医師の処方の3倍の量になる。今年はこんなパターンが多い。ぼくが持ってるのは正規にかかりつけで処方されたものだがまた足りなくなってしまう。

『まぁいいや、どうせ明日ハルシオンは手に入るんだから、、』

ぼくはそのままパソコンの電源を強制終了するように眠った。それでも眠れたのは3時間ぐらいだった。ちょうどハルシオンの効いてる時間だけ寝ていた計算だった。その後は短い夢を断続的に見ながらうつらうつらしていた。

朝の5時前に起きたぼくは準備をして地下鉄の始発を待った。だるい。眠い。正直眠い。もっと寝ていたい。

『不眠症のぼくが睡眠薬でやっと眠れてから眠いのを我慢して起きて地下鉄の始発を待って睡眠薬を求めて西成の朝市に行く。』

文章にしてみるとほとんど落語みたいな世界観だな。と、早朝から自分を嗤う。

『人間喜劇さ、その通りだろうよ』 ※尾崎豊 町の風景より。





駅から目的地へ向かう。

泥棒市はあいりんの職業斡旋ビルの裏手でやってるはずだ。しかしこの街の住民の朝はホントに早いな。死にかけた、、いや間違えた、、ヨレヨレ、、いやいやヨイヨイ、、ちがうちがう、現役を退いたようなご老体の御仁たちが沢山起きて蠢いている。死んだように寝てる人も居るけどね。或いは本当に死、、
年末に近い冬だったがどうしてこの人たちはこのクソさぶい中で寝起きして平気なのだ?段ボールや新聞にくるまれば暖かい?いや暖かくねーよ、この時期にいっぺん外で寝てみろ。普通に死ぬぞ。

 

あと何であいつら揃いもそろって髪の毛フサフサなんだよ。その謎を解くべく製薬会社は彼らのDNA鑑定をするべきである。すごいハゲ薬が開発されるかもしれんな。

などとくだらない事を考えていたぼくはここで間違いを犯した。道順の選択だ。あいりんセンターの左側の道を通るべきだったのだ。それをにぎやかな、まぁざっくり言うと右側の道を通ってしまった。

時は令和元年である。あえてもう一度言おう、『時は令和元年である』

その間違えて選択した通りは手配師の車が並んでいて『日当11000円』などの募集が貼ってあった。人も多い。歩くぼくに次々と声が掛かる。
「兄ちゃん、仕事せんかー?」
「兄ちゃん1週間で○○やでー」
「兄ちゃん〇〇までいかんかー?」

正直ぼくは兄ちゃんという年ではない、立派なおっさんオブおっさんである。だがこの街ではまだまだ若手なのかもしれん。

こんなぼくでももしもの時はここに来れば何らかの仕事があるという事だ。ちょっと安心だね。(不安じゃボケぃ)

驚いたのが日当の安さだ。大体1万円が多い。なぜ安いと思うかと言うとぼくはこの通りをバブルの真っただ中で高校生の時に歩いているからだ。大阪にやけに詳しい友人に西成を案内されたのだ。(若いって怖いよね)
飛田から怪しい商店街を抜けて三角公園を通りこのセンターから通天閣、電気通りまで抜けてナンバまで歩いたのだ。当時の西成は異常に小便臭かった。(今もですが当時の比ではない)


当時は大袈裟じゃなくてマジモンの修羅だぜ。今や『福祉の街』 『老人の街』 みたいになってるけどさ。高校生だったぼくにとんでもない観光案内をした友人の意図は分からないし愛知県の人間の癖に大阪について異常に詳しい理由もよく分からないがぼくの大阪好きのルーツは今思えば彼のおかげでもあるのかもしれない。

ま、今で言う人材派遣はもともとヤクザのシノギだった訳です。
人夫出しとも言いますが手配師たちが黒塗りのベンツのフロントガラスに

『日当現金24000円』
『10日飯場20万円』

と言った景気の良い求人がズラリと並びベンツの横には非常に分かりやすいタイプのチンピラが立っていた。。手配師はもちろんそれ以上のオファーで派遣を依頼されていた訳だからその凄まじさは伝わりますよね。それに比べて今の求人のショボい事、ショボい事。どうせ道具なんかも買わされるんだからこれでは3日はタダ働きだよ。もしくは人気のない山奥の飯場に連れて行かれるのだろう。

ぼくが高3だった当時の建築、建設業界のバブルは今の比ではなかったのです。およそ30年前の1990年頃だがぼくの友人の親父はシーマ現象に乗り、テレビでしか見ない車載電話も付いていた。その人は土建屋の社長で高校生のぼくらをシーマに乗せてスナックをハシゴし、その人の会社でバイトをすると高校生相手に日当14000円もくれていた。(弁当付)今思えば異常な世界だがその時はさして普通の事だと思っていた。バブル崩壊でおやっさんの会社はあえなく飛んだ。残念だがその後の事は友人の消息も含めて何も知らない。


ちなみにぼくは早起きが苦手だったのでそのバイトはしていない。体力もないし。(お前は昔からクソやな)でも現在も付き合いのある友人から聞いた話では休憩が異常に多くて昼寝も付いてて楽なバイトだったそうだ。

話は戻って「兄ちゃーん」の掛け声をガン無視しながら目的地に進んだ。というか「兄ちゃーん」の掛け声はとても静かでささやくような声かけなのです。誰に言ってるのか分からんくらいの。

ぼくは進む。

1.1.2.2.3.3.4.4. ガンガン、ズイズイ、グイグイ上昇。


左手に求人ではない立札があった。


『あいりん総合センター取り壊し反対!』


そう言えば閉鎖して取り壊すんだっけ。。
そうなるとドロ市は次はどこへ移動するんだろ?そのまま無くなるのかもな。。ぼくはふと油断した。油断をした。





「お兄さん!私はーーーーーーー!」




急に大声を出されてぼくは思わず立ち止まり振り向いてしまった。
さっきから掛けられた言葉はささやくような声かけだったから思わず『はっ』としてしまったのだ。

。。。。

年寄りではなく割と若い。少なくともぼくよりはかなり若い。恰好は古臭いが比較的まともにも見える。白黒映画に出てくる街の若者()ファッション的な。若いころの浜省を思い浮かべると伝わりやすいだろう。


目が合うと彼は言った。


「お兄さん!私!実は天皇陛下に頼まれてこの街にやってきたのですっ!」


お、おう、そうだな(´・ω・`),,,
ぼくは人間というのは自分の想像を超えるセリフを聞くと完全に思考停止してしまう事をこの時に知った。


「お兄さん!私は天皇陛下に頼まれてやってきました!」


なんだその大事な事なので2回言いました、みたいなのは。
ぼくはもう一度彼の瞳を見た。



いかん。。
こいつなんかキマってる。

何がキマってるのかは分らんが何かがキマっちゃってるね。



しかし中道右派を自認するぼくとしては天皇陛下の恩名を出されては無視する訳にもいかない。(どうやって逃げよう、、)


咄嗟にぼくは彼よりも大きな声を出した。


「それはお疲れ様でございますっ!」


同時に敬礼をした。
すると彼も同じように敬礼をした。

なんだこれ?

この謎のやり取りを完成させたぼくは敬礼した後、クルリと進行方向へ戻りスタスタと歩き出した。(逃亡)

「お兄さん!お兄さん!」 「お兄さん~」 「お兄さーん」

後ろからぼくを呼び止める声は続いていたが呼び掛けはだんだん遠くなっていくのが分かった。追いかけてきたらどうしようかと思ったけどこの街のルールで彼はあそこから動いてはいけないのかもしれない。そう、ふと思った。どちらにしろ天皇陛下云々の話の続きはあったようだ。何らかの『お気持ち表明』的な何かが。

でもぼくにはとても処理しきれん。謎は謎のままで良い事も世の中には沢山あるのだ。
それにその相手は何らかの何かでキマっちゃってるんだもの。

こえー、こえーよ西成。寝ぼけてたのが一発で目が覚めたよ。ここでは決して気を抜いちゃいかんのだ。前回朝方三角公園の周りを歩き回ったけどなんて事なかったので舐めてた。もしかしたら朝はここが最前線なのかもしれん。

非常に短い距離なんだけどやっと泥棒市の入り口まで来た。良かった、やってる。これでやってなかったら収穫は、『天皇陛下萬歳!』 だけで終わるトコだったよ。。

入り口(出口かもしれん)のすぐそばの露店にはVHSビデオが並べてあった。VHS?誰が買うんや?おい、そこ!ベータビデオの悪口はそこまでだ!(誰も言うてへんがな)

ぼくの得ている情報では処方薬を扱っている店は薬が出してなくても目印に市販の湿布などが置かれているはずだ。探そう。そしてうまくネゴシエーションしてディールをサクセスに持っていくんだ。(ルー大柴かお前は)

するとこの地域に似つかわしくない男が現れた。(シュッ)
えらいキッチリしている。ヨレヨレのご老体や天皇陛下の遣いの後だけに余計にそう見える。そう、まるで暗黒街に現れたスピードワゴンみたいに。(奴は最初悪やったやんけ)

「お兄さん、何の薬が欲しいの?」

スピードワゴンはとてもやさしく言った。

え?ていうかこういうパターンもあんの?それにぼくが薬を買いに来たのが分かるのか?ぼくはそんなに病んで見えるのか、、いや、、スピードワゴン氏はぼくの覚悟をきっと感じ取ったのだろう。(妄)


面喰らいながらもぼくは言った。

「ハルシオンが欲しいんですよね」
「ハルシオンは今無いんですよ」

スピードワゴンは即答した。
え、まじ?この一連の旅路は無駄足?無駄無駄無駄無駄!

「あるのはこれとか、これですね」

スピードワゴンはいくつかの薬を大事そうに手を開いて出して見せた。
それは依存性の高い抗不安剤とデートレイプドラッグで使われるブツだ。

「それは持ってるんですよ、とにかくハルシオンだけ欲しいんですわ」

ぼくは言った。

少し話はそれるがそのデートレイプドラッグに使われるブツはなぜかぼくには効かない。ラムネみたいなモンだ。お酒と混ぜると記憶も何もかも飛ぶので悪用されるらしい。ただぼくはお酒が飲めないのでそのあたりは不明だが。さらに体内の薬反応が数時間で消えてしまうので犯罪の立証が困難であるようだ。


でも不思議に思うのはデートまでこぎつけてお酒まで一緒に飲む仲なのになんでわざわざそんなモノを使うんだろう?


ちなみに女性で気をつけるべきは青いお酒を勧められた場合だ。これ系は水分に混ぜると青く染まるように着色されている。そんな色のカクテルはいくらでもある。レイプも断罪されるべきだが薬をアルコールに混ぜるのは内臓のダメージが凄い。とにかく女性は不特定多数のパーティーなんかで狙われないように身を守るべきです。バーテンダーとグルの場合も聞く。もちらん狙われる女性に罪はない。薬にも罪はない。ましてやお酒にも罪はない。許されざるのは悪用するクソな人間だ。それは男だけとも限らない。同性の女を使って油断させてそれ系のカクテルを勧めさせる奴もいるからだ。

あと男が男に使う場合もあるんだよ、、

さて、声を掛けてもらって悪いがハルシオン無いならスピードワゴン氏以外の露店で買おう。どっかにはあるでしょ。

「例えばまとまった数とかでも欲しいですか?ちょっと高いんですけど1200円しちゃいます」

スピードワゴンはぼくを追いかけるように言った。聞いていた相場は1シート1000円だが1200円なら構わん。何しろ他の地域などでは2500円前後が相場だ。消費税も上がったしな。(関係ある?)

「多ければありがたいですよ」

「例えば10枚とかでも?」

「それだけあれば言う事ないですね」

スピードワゴンはちょっと待って、と言って周りのヨレた人たちに声をかけていた。

『これは集めてくるな』

そう思ったぼくは12000円キッカリを出して手に握りポケットに突っ込んだ。
何やらこの一角は強大なチカラに守られているような気がした。支配されている、と言った方が正しいのかもしれない。良く言えば不思議な秩序がある。だから陛下の遣いもここには近づかないのだろう。おそらく。

「11枚手に入りました」

スピードワゴンは銀色のシートを11枚持っていた。流石スピードワゴン、頼りになる。ぼくは手に持っていた12000円に1200円足すために財布を開いた。ここでは財布を出すのは危険な気がしていたのだが、なぜかこのスピードワゴンからは周りからぼくを絶対的に守るという『奇妙な安心感』を与えられていた。 ズキューンズキューン

あ、そうだ、これは、、
『この人ヤクザだな、、』

やさしい目、やさしい物腰、穏やかな声、そのスジには見えない今どきのヤクザだ。だから逆に安心感をぼくに与えるのだ。少なくてもここを取り仕切っている1人であるのは間違いない。でなければこんな直接交渉をこの土地が許すはずがない。

「200円、負けときますよ」
「ありがとうございます」

ぼくはお礼を言い早々に立ち去ることにした。本当はこの後で他の露店でどんなクスリを扱ってるのか知りたかったが、その行為はスピードワゴンの見せた誠意に背く、仁義に背く、そんな行為に思えたからだ。


ぼくは帰る。

当然さっきの天皇陛下通りは戻らず違う道へ。。


1.1.2.2.3.3.4.4 ガンガン、ズイズイ、グイグイ上昇。


そちらの道には人がまったく居なかった。

やはりこの近辺は奇妙な秩序に守られている。



なお、なぜ最初にそっちの道を通らなかったかと言うと遠い昔にそこで(恐らくは)シャブの取引現場を見てしまったからだ。さらに夜になると(恐らくは)シャブ買いのドライブスルーみたいになってて車を止めると暗がりから売人が来て何かを渡す、そんな現場になっていたのでそれを見たトラウマから避けたのだった。

まぁ今度はまたあっちの道で違う新たなトラウマが出来た訳ですけどね。


考えすぎだとは承知だが今思えばあの通りは侵入者に対する検問または面接のようなものだったようにすら思える。天皇陛下の遣いは最終面接だ。合格したぼくは闇の薬剤師に声をかけられたのだろう。そんな気がしてならない。正直顔を覚えられれば上質な結晶(メタンフェタミン)すら融通してもらえそうな雰囲気すらあった。
でもぼくはメタンフェタミンには近付かない。
メタンで破滅した人間は沢山知っているが真の幸福を手に入れた者は知らないからだ。
ODで本当のヘブンに行ければ或いは幸福なのかもしれないけど。それはさておきまぁ一時の幸福は得られるのだろう。逆にそこにメタンフェタミンの恐ろしさがある。


人間生活をやってると恐ろしい底なし沼で足掻くような瞬間が誰しにもやってくる。そこは余りにも不快で深淵なる闇だ。そこに信用している誰かがやってきて上質な結晶を優しく渡し「兄弟、救いは此処にあるんだよ」と耳元で囁くのだ。
メタンフェタミンのこの卑怯さにぼくは憎悪して憎悪する。
ぼくは魔法のように疲れを吹き飛ばすホームランが打てる結晶よりもぐっすり眠って疲れを取る事を選んでいるのだ。それが脳内に直接作用するやや強引に眠りにつく薬を使ってでも、だ。

ぼくはこうして無事青玉(ハルシオン)をまとまった数の入手に成功した訳です。
すると不思議なもので手元に沢山ある、という安心感で深く、ぐっすりと眠れるようになった。ぼくの一連の行動は法律的には適法とは言えないだろう。風俗とパチンコが適法でないのと同じように。


でもぼくはこうして安心を手に入れる事ができたのだ。


語り足りぬ部分も多いですがひとまずこの物語は終わりとします。 (了)



最後まで読んでいただきありがとうございました。    



※この作中の『ぼく』=『隊長』ではありません。 

繰り返しますがすべてフィクション(作り話)です。



あ。前日の某新地で払ったのが13000円。この日のハルシオンが13000円。偶然にしてはうまく出来てますね。(遠い目)

 

 

2023年追記:

これを掲載したのが2019年の年末だったか年明けの2020年の初めだったか忘れましたけどその掲載後記としてブログに書いたのが『最後にこれを更新出来て良かった』です。その後はご存じの通りにコロナ禍に突入しましてね。それは関係なく自分でHPの更新記事はこれで最後だな、と思っていました。(ブログはやるけど)みたいなね。結果的にその通りになりましたね。なのでHP過去記事掲載もこれで終了になります。でもえっと、アレだよ、これ全部作り話だよ。または友達の友達の知り合いから「聞いた話なんやけどなぁ」です。

 


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参考資料として西成日雇い掲示板にリンクを貼りますがくれぐれも冷やかしなどの行為はご遠慮ください。

 

 

 

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