俺はソープに居た。
『ご案内です。』
やけに身体が沈みこむソファに腰掛けた俺にそう低い声で店員は言ったが彼の顔色からはこの先の展開にあまり良い予感はしなかった。でも店員のその顔色は彼の今までの人生が刻まれているだけかもしれない、いやもしかしたら何か現状で個人的なトラブルを抱えているだけかもしれない、そう幾つか自分に言い聞かせるように思い直し俺はソファから立ち上がろうとした。両腕と両足に力を入れるとやけに身体が重たく感じる。
俺も少しばかり疲れているのかもしれない。
☆
カーテンの向こうに割と目つきがキリッとした人が立っていた。
彼女が今日のお相手になる。ていうか相手してもらうのは俺の方なんだけどね。
一通りプレイが終わった。(端折り過ぎだろ)
いや、取り立てて凄いテクニックがある訳じゃないしさ。(俺にね)
語るほどのプレイでもないのよ。
ソープには通称『※勃起待ち』と呼ばれる1発終わったあとのトークタイムがあります。
※初めて聞いたし初めて言ったわ。
俺が割とこの時間を大切にしているのは賢明な読者の方はご存知だと思います。
(賢者状態で冷静に話ができるし)
ただここで何も引き出せないとホント無駄な時間になってまうんです。
☆
すると彼女は話の流れで自分は『バイセクシャル』なんだと自分で言った。
話は俄然と興味深くなる。
「わたし男と女の違いってイマイチわかんないのよね。」
「正直割と誰とでも寝ちゃうしね。男とも女とも。」
ソープの四角い部屋のベッドに腰掛けて呟くように言った彼女は綺麗でもないし可愛くもない女だった。でも、かと言って彼女は魅力が無い女という訳でもなかった、時折見せる表情の変化や目線の使い方が素敵だった。その点については上手く表現できないのだけど。
彼女いわく自分の気に入った女性を口説くのはとても難しいのだけど『ある視点』から観察すると落とせる女というのが何となく分かるのだそうだ。
おいおい、それを俺に教えて欲しいわ。(そんな単純な観察じゃないみたいだけど)
なお、、ある程度気に入った男を誘うのは実に簡単だそうだw
だろうねw
そういう点、女として生きる上では男のセックスの相手探しはとてもイージーだと言っていた。まぁそりゃそうだよね。ちょっと魅力的な女の人に誘われたらするもんね、男は。
ちなみに、ちなみにだ。
「そういう人から見て俺ってどうかな?」
何を期待して聞いたのか自分でも分からないけど俺は彼女に尋ねていた。
できるだけカジュアルに。努めてクールに。
「そうね、プライベートで会ってたら1回なら、って感じかしら?」
彼女は眉間に少ししわを寄せて俺を少しだけ見ると片方の眉毛を少し上げて言った。
おいおい随分とお言葉だな。
なんやねん 『1回だけなら、』 って。俺だって1回でええわい。
そう言いながらもその日は2回しましたけど。(オチです)
でわまた。。
あなたの隊長でした。(悪いな、俺は誰のもンでもない)